ひよっこ作家

おはぎとコーヒー

2023.11.13

 冬が来た!家の中を裸足で歩くと冷たい。靴下とスリッパを履く。外に出ると鼻が冷たい。空気が冬のにおいに変わっている。冬休みや年末年始を想起させるにおい。長期休みは必ず、高知県の山間にある祖母の家に帰省した。餅つきをして、おせち的な郷土料理である皿鉢料理を囲んで、ゆっくり進む時間の中で、家族と過ごす。そこに流れる時間はほんとうにゆっくり進むのだけれど、夜になるのも早いからか、なんとなくあっという間に一日が過ぎる。そんな冬の過ごし方はもう数年していないのに、今日漂っていた冬のにおいは、なぜかそのときの記憶を呼び覚まし、なにもとくべつなことはない思い出なのだけれど、そこには確かに両親に守られて生きていた子どものころの自分がいたのだと思い、胸がぎゅっとなった。

 自分が子を守り、育む立場になり、現在の自分が一番いいと思うことを選んで、日々暮らしているのだけれど、正解の道を選べているのかどうかは、わからない。今は誰にもわからないことだ。答え合わせは数年後、数十年後にできるかもしれないし、できないかもしれない。育児を難しく考えすぎていて、息が詰まってしまうことが多い。可愛い子のために、間違った選択はしたくない、最良の選択をし続けたいなんて、無茶な話であるし、傲慢なことである。分かってはいるのだけれど、自分の根底にある完璧主義がしゃしゃり出てきて、苦しい方へ苦しい方へ導いている。これをしていいのかな、この言葉掛けでいいのかな、この生活の仕方でいいのかな、難しく難しく考えている。あぁあ。このバカチンが〜。子に期待することは全く無い。そのままの子が大好きだ。自分に期待し過ぎている?自分にできることなんて何も無いじゃないか。でも、でも…。明るい気分になったり、ずるずる地を這うような気分になったり、馬鹿馬鹿しいけれど、無駄にぎちぎち考えて、一生懸命生きてる自分を抱きしめたい気もする。