ひよっこ作家

おはぎとコーヒー

2023.7.19

 先日、夫と一緒に鰻を食べに行った。

こちらでは江戸流と呼ばれる調理法を用いられており、関西風が腹から捌くのに対して、背中から捌くことが特徴だそうだ。歴史を感じる外観、ゆったりとした店内と窓からの川や緑が見えるすてきなところで、何より料理がとっても美味しいので、1年に1回、こちらの店で鰻を食べることを何よりも楽しみにしており、今年も行くことができ、とても嬉しい。来年以降、子どもが生まれてからも行きたい店のひとつである。予約の時間のちょうど5分前くらいに到着していたのだが、周辺の駐車場が軒並み満車で、駐車するために20分くらいぐるぐる周辺を回ってかなり苦労した。予約している時間も過ぎ、ラストオーダーの時間も近付いてきて気持ちが焦る。やっとのことで1台ちょうど出庫したところに遭遇し、無事停めることができたので、急いで店に向かう。予約の時間よりだいぶ遅れてしまったのに、お店の方はとても親切にしてくれた。来年も再来年も絶対来たいという思いは強固となった。鰻重の上(約1匹)ふたつと、白焼き(半匹)を注文する。出してくれたお茶の急須が可愛かったので、どこのものか知りたかったけれど、裏には何も書いておらず、分からなかった。少し待つうちに、順に料理が届けられる。

 まずは白焼きから。塩とわさびで頂く。美味しい!塩が、なんの塩なのかこれも分からないけれど、塩が美味しい。半匹の注文で、皿に載っているものはほんのちょっぴりなのに、白焼きとは高価なもので、食べ進めるごとに寂しくなっていく皿を見つめながら、それはそれは大事に食べた。次に鰻重。お重をぱかっと外す。見紛うことなく鰻重だ、うっとり。美しい。早速一口、口に運ぶ。なんとふっくらふわふわで美味しい鰻なのだろうか!あー美味しい。とても柔らかくて優しい口当たり。本当に美味しい。ゆっくりゆっくり食べては、「美味しいねぇ。美味しいねぇ。」とこの幸せを噛み締める。こちらでは、先ほど述べた捌き方をしたのち、一本一本竹串を打ち、一度白焼きしてから蒸すという工程を経て、最後に関西風の少し甘めのタレを使い、炭火で焼き上げられているそう。ゆっくり食べていてもやはりあっという間に食べ終わってしまった。心が満たされる食事だった。

 次にあの店で食べられるのは、また来年。今はまだ生まれていない我が子も、その頃には1歳になる頃なのだと思うと、なんだか不思議でならない。これからの1年はぜひゆっくり過ぎてほしい。小さめの我が子は、まだお腹の中のスペースがあるのか、今日もお腹の中でご機嫌に動いている。狭くないの?好きなときに出てきたらいいけど、まあもうそろそろ出てきてもいいよ。色々呼びかけている言葉を聞いて、どんな風に思っているのだろうか。